― 令和6年度スローガン:『つたえる、つながる、つよくなる』 ―
― 京都染織青年団体協議会の目的 ―
京都染織青年団体協議会は昭和51年4月1日、『京都の和装に関連する各青年層を統合し、相互の緊密な連携により、共通の諸問題を研究すると共に、生産から流通に至る和装を全体的に展望し、その振興に寄与することを目的』(京都染織青年団体協議会会則第2条 目的 より抜粋)に設立されました。過去は10を超える団体が加盟しておりましたが、本年度からは「京都織物卸商業組合青年部会」と「京都呉服青年会」の2団体の45歳以下の出向者から成り立っております。
― 後継者不足の本質とは ―
京都の染織産業における問題点として、後継者不足はいつの時代も語られてまいりましたが、新型コロナウイルスをきっかけにした企業の廃業や統合、年配の職人のリタイアなどが続く中で、いよいよ避けては通れない緊急の課題となっております。特に私たち青年世代にとっては今後の経営において、もっとも重要な問題であるといえます。
では「後継者不足の本質とは、どこにあるのか」。生産数の減少、少子高齢化、働き方改革と生産性という安易な言葉が生む負の側面。賃金の問題、福利厚生、他業種との比較による早期転職など定着化の問題。様々な原因が考えられますが、私は特に「着物に関わる仕事に触れ、知る機会が少なくなっていること」が大きな原因ではないかと考えております。
核家族化する中で着物を愛用していた世代とのつながりが希薄になっている現状の中、特に都市部では住居は狭くなり、着物を着付けし畳むには当たり前であった和室のある家は珍しくなってまいりました。様々なシーンでカジュアル化が進むにつれ、ハレの日の装いが少なくなり、そうしたハレの着物を目にする機会は着実に減っているように見えます。また各地域に必ずあったその土地に根差した呉服店も、今ではその数を減らし、街中の路面店のウィンドウで着物を見る、という経験もしにくくなっていることを様々な土地へ旅行にいくと痛感いたします。
一方で長年タンスに眠っていた着物を、買い取りする企業が増える中で、消費者からすると古着を安価に購入しやすくなった点、SNSを活用した店舗や作り手からの発信に加えて、着物ユーザからの情報発信が増えている点、レンタルによるファッションとしての消費行動がこの10年で急速に広がっている点など、着物の着用という面においては、決して悲観することだけではなく、和への回帰、着物への関心の高まりが世代関係なく高まっていることも実感しております。
だたし、一部の着物ユーザではない多くの方にとっては、依然として、むしろ加速度的に「日常的に着物がどのように生活と繋がっているのか」、またそうした文化が維持されている裏側で「どのような人が、どのような仕事をして、着物文化、和装文化を支えているのか」が、非常に想像しにくい状況になっていると想定をしております。
業界の後継者不足、担い手不足を解決するためには、いかにして、「着物に関わる仕事」の魅力ややりがい、加えて現実的な厳しさも伝えていくこと、そうした情報を発信し、触れていただくことが最優先であるとの考えに至った次第でございます。
― まず今、私たちができること ―
私が代表を務めている呉服専門店では、これからもずっと、着物を装う喜びを一人でも多くの方に感じていただけるよう、未来の呉服のプロフェッショナルを育成するために、毎年新卒市場で採用活動を行っており、私自身も採用に携わるようになって10年が経過いたしました。「深く長いお付き合い」「受け継ぐ想い」というテーマで話をしているその度に感じるのは、着物の仕事の楽しさややりがい、時には苦労や難しさを伝えると、生き生きとした表情でお話を聞いてくださる方がいること。また「着物の業界で働きたいのです!」という想いを伝えてくださる方がおられるということです。
また業界から視点を変えて、同世代と話をしていると、「京都で暮らしたい!」という気持ちを持っている方、移住を計画されている方も今は増えており、こうした方の心の中には伝統や文化に関わる仕事がしたいというお気持ちがあることもひしひしと伝わってくることがございます。
学生の街でもある京都の特性と、自然と文化、伝統と革新を持った京都ならではの特徴を生かして、「着物という仕事に興味を持っていただける方と繋がれないか」ということが本年度の和装振興事業の大きな挑戦と狙いになっております。
― 令和6年度のスローガン ―
令和6年度のスローガンは「つたえる、つながる、つよくなる」とさせていただきました。
この言葉に込めた想いは、まずは、自分の想い、仕事へのこだわり、これからの挑戦を周りの方に伝えていくことの大切さ。業界のこれからを担う私たちから、一人でも多くの方に届くように、協議会活動を通して、言葉にしていくことを大切にいたします。
想いを伝えると、そこから思いがけないご縁が広がり、人とつながることがございます。特に京都では、情熱のある若手に対して応援をしてくださる文化が根付いており、短期的な利益をもとめるのではなく、長い目で投資をするかの如く、様々なことを教えてくださる先輩方の存在、面白がってお話を聞いてくださり、お話を聞かせてくださる方。着物というものを媒体として、繋がりが広がっていくそんな1年を目指します。
こうした京都染織青年団体協議会を通した繋がりが、個人や企業や業界を”つよくする”ことに繋がると信じて、まずは私たちの仕事の魅力ややりがい、愉しみを発信してまいります。
― 今年度の和装振興事業として、何をするのか ―
今年度の和装振興事業として「令和の”きもの”の仕事展 × きもの仕事ポットキャスト」を計画しております。
きものの仕事展については、実際に着物に携わる私たちの仕事を、業界に特化して深く知っていただくための取り組みとなります。
お召しになる方の美しさと幸せを願ったデザインやものづくり、日本中・世界中へとどける流通、お客様のご要望ときものをつなぎあわせる小売り、長くご愛用いただくための悉皆など、様々な種類の仕事が「着物の今」を支えています。その一部分だけでも、仕事の深みを感じていただけるような事業を考えております。
WEBサイトなどによる情報発信に加えて、2月には体験型のイベントを計画しております。実際に仕事の現場に足を運ぶことで、どんな人がどんな想いで仕事をしているのか。そして、交流会のような形で、ワイワイと仕事での本音を語りあえる時間が作れたら、とても楽しいだろうと想像をいたしております。
仕事ポットキャストは、令和の時代、きものの仕事ってどのようなものなのか。きものの仕事展に先駆けて、日本初!?となる『着物×仕事×音声コンテンツ』をスタートさせます。6か月にわたり、業界のさまざまなフィールドで活躍するメンバーで、着物の仕事の「これから」について、よもやま話を繰り広げます。デザイン、ものづくり、メカニック、あきないなどなど、テーマは現在検討中ですが、耳から仕事を知っていただく、きものの仕事ってこんなものなんだ…と愛着をもっていただき、きものの仕事展へのご参加を促すものになれればと考えております。
今回の和装振興のターゲットは、京都で学ぶ学生、そして京都で暮らしたいという想いをもった若者世代。具体的には45歳以下の私たちに近い同世代を想定しております。
社会人としてのスタートとして、あるいは、社会人経験を経ての挑戦として、子育てをしながらの働き方。などなど、この事業から広がるご縁が1つでもあればと願っております。
― 最後に ―
最後になりますが、長年の問題であった後継者不足という問題がわずか1年の事業で解決できるとは思っておりません。ですが、京都の染織業界はもちろん、全国で同じような悩みや苦労をされている方にとって、なにか少しでも気づきやきっかけになりますように、京都染織青年団体協議会の出向者の皆様と共に、議論し協議をし、良い事業に作り上げてまいります。どうか何卒ご支援、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
京都染織青年団体協議会 第47代会長 亀井 彬
昭和48年暮れの石油ショックは、日本経済を大きく揺り動かし、あらゆるところで多くの混乱を引き起こしました。そして誰もが、この変化や混乱は、以前と何か根本的に違うことに気付き始めました。この変革は日本の社会や経済の構造の変化であり、以前の手法が今後通用しなくなるのではと思い始めたのでした。もちろん我々和装業界にとっても事情は同じであり、むしろ日本の社会や経済の最も伝統のある部分と密接に関係を持っているため、この変革は大きな苦痛でした。
昭和50年は、このような認識を多くの人々が持ち始めた時でした。この年、石油ショックより2年目の暮れに、この協議会を設立する動きが始まりました。和装業界は周知の通り極度に分業化されているため、一度不振に陥ると、細分化された個々でいかに努力をしても、全体の力になかなかなりえないという弱点があります。この様な社会や経済が変化していく中で、過去にも色々団結の動きがありましたが、簡単には結束し合うことが出来ませんでした。
昭和51年4月に、この様な情勢に対応するため、京都染織青年団体協議会は誕生致しました。また昭和53年8月、和装の振興と会員の相互の緊密な連携を目的に「第1回京の夏まつり」が催され現在に至っています。その他にも、協議会の目的を達成するため種々の催事が各々の年度に行われてきました。 現在この協議会は、京都の和装に関連する加工、生産から流通、小売に至るまで3つの青年会によって構成されています。和装という共通の地盤に立って、互いに情報を交換しながら、研修会・研究会・講演会等を開催しています。そして、我々自身の自己啓発を行うと共に、和装振興のため可能な具体策を模索しつつ、活発な事業活動を展開しています。
名称 | 京都染織青年団体協議会(きょうとせんしょくせいねんだんたいきょうぎかい) |
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所在地 | 〒600-8009 京都市下京区四条通室町東入函谷鉾町78 京都経済センター 3F 公益財団法人京都和装産業振興財団内 TEL:075-354-1178 FAX:075-354-1177 |
設立 | 1976年4月1日 |
組合の地区 | 京都府一円 |
加盟青年団体 | 京都織物卸商業組合青年部会 京都呉服青年会 |
主要な事業 | 1.会員大会 2.鴨川納涼 3.和装振興事業 4.研修事業 |
令和6年度の出稿者一覧です。
会長/ きものの仕事展 実行責任者 |
亀井 彬(京都呉服青年会) |
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副会長/ 会員大会 実行責任者 |
堀部 修次(京都織物卸商業組合青年部会) |
副会長/ きものの仕事展 補佐 |
浅野 裕樹(京都呉服青年会) |
事務総長/ 協議会Podcat 実行責任者 |
矢代 真也(京都呉服青年会) |
財務責任者 | 松浦 仁宗(京都織物卸商業組合青年部会) |
鴨川納涼 実行責任者 | 黒田 正裕(京都織物卸商業組合青年部会) |
鴨川納涼 補佐 | 西田 遼(京都呉服青年会) |
きものの日対談会 実行責任者 | 木村 智也(京都呉服青年会) |
研修事業 実行委員 | 木村 照道(京都織物卸商業組合青年部会) |
監事 | 野瀬 守弘(京都織物卸商業組合青年部会) |
相談役 | 柴田 剛志(京都呉服青年会) |
住所 | 〒600-8009 京都市下京区四条通室町東入函谷鉾町 78 京都経済センター 3F 公益財団法人京都和装産業振興財団内 ◎地下鉄烏丸線 「四条烏丸駅」徒歩1分 |
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業務時間 | 9:00 〜 17:00 |
TEL | 075-354-1178 |
FAX | 075-354-1177 |
京都染織青年団体協議会は、個人情報の重要性を深く認識し、以下の方針に基づき個人情報の保護に努めてまいります。
京都染織青年団体協議会は、個人情報保護法および関連するその他の法令・規範・ガイドライン等を遵守します。
京都染織青年団体協議会は、個人情報を適切に保護するための個人情報保護マネジメントシステムを策定し、適切に運用するとともに、継続的に改善します。
京都染織青年団体協議会は、個人情報を収集する場合には、適法かつ公正な方法で収集し、あらかじめ個人情報の利用目的を明示して、その利用目的の範囲内で利用します。この範囲を超えて個人情報を利用する場合には、本人の同意を得たうえで利用します。
また、法令に定める場合および本人の同意を得た場合を除き、当館が第三者に個人情報を提供することはありません。